二度目の初恋

私の献身的な支えもあって佐倉家には笑顔が戻りつつあった。

だが悠永はというと、相変わらず日々を淡々と過ごしていた。

私はこのままでは悠永がダメになってしまうと感じ、悠永を吹奏楽部に誘ったのだが、秒で断られてしまった。

しかし、部活をしない本当の理由は他にあった。

悠永の父親は警察官、母は持病持ちで体が弱く、働きに出られず専業主婦をしていた。

悠永は母を気づかい、家に帰ってから家事をこなし、4つ下の弟の面倒を見ていたのだ。

とても部活どころでは無かった。

勉強は全てを片付けてからやっていたからいつも睡眠時間は十分に取ることが出来なかった。

授業中眠ってしまう悠永のために私はもちろん一睡もせず、耳をダンボにして先生方の話を良く聞いてノートをとっていた。

私が休み時間にノートを見せに行くと悠永は眠い目を時にこすりながらもノートを写していた。


「伽耶は書道やってたから字がキレイで見やすい。いつもありがとう」

「そ、そうかな?誉めてくれてありがとう」


悠永に誉めてもらえるのが、悠永に必要とされているのが嬉しくて私は毎日毎日ノートにペンを走らせた。