二度目の初恋

今日は金曜日。

ゆいぼんも学校がある日だ。

アタシのことを待っていなければ一緒に帰ることは出来ない。

はぁ...。

ため息をつく回数がここ最近極端に増えた気がする。

電車に揺られ、車窓から見慣れた町並みを見つめる。

ゆいぼんと一緒に通いたかったな。

もしそうだとしたらどれだけ楽しかっただろう。

今の高校では普通に話をする人はいるけど友達らしい人は1人もいない。

幼稚舎からの女子校育ちの人もわりと多くてけっこう皆ドライなんだ。

女子ばかりだと常にベタベタひっついてそうとか友達関係も上下関係もドロドロしてそうなんて勝手にイメージしてたけど、実際は違った。

世間一般のイメージ通りにならないように...なのかは分からないけど、とにかく人とは一定の距離を保って生活している。

ってことでアタシには本当にゆいぼんだけが友達なんだ。

佐倉という苗字からさくらんぼを連想して最初はゆいんぼって呼んでたんだけど、いつの間にか言いやすくゆいぼんになっていた。

ゆいぼんはゆいぼんなんてネーミングセンスゼロの愛称を嫌がることなく今も昔も受け入れてくれた。

そんな唯一無二の親友をアタシは救わなければならない。

事故があった時、アタシは公園に向かっている途中で、助けにいけなくてすごくすごく後悔した。

だからいくら恋敵だからといってもアタシは助けたいんだ。

自分の後悔を反省して2度と同じ後悔をしないように。

でもどうすればいいのか、もう分からない。

考えても考えても名案が浮かんでこない。

イライラしてきて心を落ち着けるために音楽でも聞こうかと耳にイヤホンをつけようとした、その時だった。