二度目の初恋

しかし、返事が来ないまま7月に突入してしまった。

わたしの家族はというと相変わらず朝から小さなことで両親はプチ喧嘩をし、紀依ちゃんはわたしをガン無視し、食事の時間は徹底的にずらされていた。

それでもわたしは家族の前では笑顔を心懸けて生活していた。


「紀依ちゃん、今日は塾ないでしょ?七夕パーティーやるから早く帰ってきてね」

「...」


わたしの方が出発が遅いのでいつも紀依ちゃんを見送っているのだけれど、いつも話を聞いてもらえているのかそれすらも分からない。

茶色のローファーをコンコンと鳴らし、かかとを入れたところでわたしは毎日お決まりのセリフを言う。


「紀依ちゃん、行ってらっしゃい。気をつけて帰ってきてね」


ドタンっと力強くドアを閉められ、毎回ビクッとなってしまう。

毎日やられているのに、なぜこの音には慣れないのだろう。

今日もまた無視か...と落ち込みながらも、わたしは自分の支度をするために洗面所に向かった。

一応女子高生なのでそれなりにメイクには興味があり、ナチュラルメイクをしている。

同じ高校に通う先輩の中には金髪にド派手なメイクをした一昔前のギャルみたいなファッションの人も、ピアスを耳に何個も開け、それでは飽きたらないのか唇にも開けている人もいる。

わたしはあまり気にしておらず、それもまた個性か...なんて思い、寛大な心で受け入れている。

家族の中で一番遅くに出るので戸締まりをしっかり確認してわたしは家を出た。