二度目の初恋

「紀依ちゃん」


わたしが話しかけると、紀依ちゃんは鋭く睨んできた。


「ちゃん付けて呼ばないで」


わたしの言葉に反応するようになった。

それだけでも大きな進歩だ。


「ごめん。じゃあ、紀依たん」

「キモい。呼び捨てでいいでしょ。あんた、姉なんだし」


この口の悪さは誰譲りなんだろうと素朴な疑問だけど、今は一旦スルー。


「じゃあ、こうしよう。わたしは紀依ちゃんを紀依って呼ぶから、紀依もわたしのことはお姉ちゃんって呼んで」

「は?」

「約束だよ。約束破ったら、作り方、教えてあげないんだから」


わたしがそう言うと、紀依はくすっと笑った。


「えっと...何?」

「何でもない。それより早くして。あたし、今日も早いの。あんたとは違うんだから」

「あっ!今、あんたって言った!じゃあ、わたしはこれで...」

「ちょ、ちょっと...」


なんだ。

可愛いじゃん。

焦った顔が可愛くてわたしは思わず笑ってしまった。

お返しだ。


「笑ってないでさっさと教えて」

「はいはい。じゃあ、まずは材料の計量から。そのレシピ通りに取り敢えず全部計っちゃおう」


計量し、レシピを元に順番に材料を入れて混ぜていく。

お菓子作りは計量とか混ぜ方が重要だと母から教わったし、小学生の時は家庭科クラブだったみたいだから、そこでも習っていたのだと思う。

覚えていたら昔話出来るのにな。

そう考えると、やっぱり悔しい。