二度目の初恋

「お母さん、分かったよ。悠永くんとはもう会わない。だからわたしのお願いも聴いてもらえる?」

「何?」


わたしは泣き出さないようにそこらじゅうの空気をいっぱい吸い込んで深く深く深呼吸をして...言った。


「紀依ちゃんのこともお父さんのことも責めないで...」

「由依...」


父がわたしの肩に大きな手のひらを乗せた。

そしてそっと微笑み、わたしを優しく抱き締めた。


「お父さん...」

「由依...本当にごめんな。由依も苦しいのにさらに苦しめて...。こんなダメな父親を許してくれ...」

「ダメな父親なんかじゃないよ。お父さんはわたしの大切な...大切な大切なお父さんだよ」


父とわたしが互いに傷を癒しやっているのが気に食わなかったのか、母はよろけながらリビングを去っていった。

母が言っていたことも、

母の想いも、

母の考え方も、

わたしは理解していたはずなのに、急に霧がかかったように何も見えなくなった。


「由依、お父さんからもひとつお願いがある」


お父さんはわたしを離すと、わたしの肩に両手を乗せてわたしと視線を交わした。


「お母さんと紀依を仲直りさせてくれ。由依なら出来るよな?」

「うん...がんばるよ」

「よしっ。じゃあ、頼んだぞ」


わたしは首を大きく縦に振った。

わたしのやるべきことがまたひとつ増えたのだった。