二度目の初恋

オレは足早に佐倉家を去った。

ジャケットもなく、とにかく寒い。

顔に容赦なくあたる木枯らしは冷たくて痛く、耳はちぎれるんじゃないかと疑いたくなるほどだ。

手は明日目覚めたら霜焼けになってるかもな。

足は寒さで感覚が無いし、とにかくオレには何もなかった。

というより、最初から何も集められていなかったんだ。

オレの手の中には何もなくて、無いのにずっと探していたんだ。

虚しい。

悲しい。

悔しい。

オレはこれからどうしたらいいんだ?


「ああーーーーーーーーーーっ!!」


近所迷惑承知で叫びながら夜道をただひたすら足と手を動かし、自分で熱を生み出しながら走った。

走って走って走って走って走って...

オレは何もかも忘れてもう1度由依と出会った春の日からやり直したくなっていた。