二度目の初恋

――パチンッ!


薄暗い冬の夜空にオレの意識が一瞬飛んでいった。


「あなたどの面下げてここに来たの?!」

「オレはただ由依さんを見つけて送ってきただけで...」

「2度と来ないでっていったじゃない!!」


オレに飛びかかろうとする由依のお母さんを由依の父親が必死に腕を掴んで押さえていた。


「お母さん、あのね、悠永くんはすっごく優しくてすっごく良い人なの。だから...」

「そんなこと、あの日のことを覚えていない由依には分からないわ!だってこの人があなたを道路に誘導したのよ!」

「依子、よせ!由依に変なことを言うな。あれは事故だったんだ!誰のせいでもない」

「うるさいっ!あなたは穏やか過ぎるのよ!娘を事故に遭わせた張本人を前にして怒らない親なんていないわ!優しかろうが、良い人だろうが、由依の友達だろうが関係ないっ!金輪際由依や私達の前に現れないで!行くわよ、由依」


由依は母親に引っ張られ、オレも抵抗することは出来ず、中に引きずり込まれていった。

その様子を黙って見ていた由依の父親の目には微かに光るものがあった。


「悠永くん...本当にすまない。いつだって君は由依のために頑張ってくれているのに...」


オレは喉に込み上げてくる熱いものを抑えるために声を出せず、首を真横に振ることしかできなかった。


「今日は我が家でも色々あって混乱してるし、由依だけじゃなくて皆が精神不安定になっている。これではまともに話も出来ない。だからしばらくは由依とも会わないでそっと見守っていてほしい。頼む。この通りだ...」


由依の父親はオレの唯一の希望だ。

その人にさえこうして頭を下げられてしまったのなら、従うしかない。

それに...自分自身もそう思っていた。


「分かりました。由依さんとは......由依さんとは当分会いません。スマホでもやりとりしません。こちらこそ...何年も家族の喧嘩の起因になってしまい、本当に申し訳ありません...」

「悠永くん...」

「では、失礼します」