二度目の初恋

温暖化と言われていたのに、7年前の今日は大雪が降った。

たくさん雪が降り、ましてや積もってかまくらまで作れてしまうなんて本当に驚きだった。

由依は案の定皆を呼び出し、校庭で雪合戦をした。

手袋がびしょびしょになるほど夢中でやっていたものだから、由依は翌日霜焼けになり、わざわざオレの家に見せに来たのだ。

オレは仕方なく家に招き入れ、母さんに由依の手当てをしてもらった。

持病があった母は血液の循環が悪く、冬場は毎年必ず霜焼けになっていて、その対処法を誰よりも良く知っていた。

母の指がぷっくりと赤く膨らみ出したら、それが冬の訪れのサインだった。


「由依ちゃんは本当におてんばさんねぇ。こんなに真っ赤にしちゃって」

「おばさんはなんかカサカサしてるね」

「秋頃からなってるから終わりかけみたいね」

「痛い?」

「そりゃあもちろん痛いわよ。でも大丈夫。これを塗れば一発で治るから」

「でもおばさんは治ってないよ」

「それはおばさんは由依ちゃんみたいに若くないからねぇ。治癒力も落ちてるんだよ」


なんてことを話しながら、母は由依の指の1本1本にはけで醤油を塗っていた。

くすぐったそうにしながらもわーきゃー騒いでいた由依の声を聞いて、悠真も母の隣に腰を下ろした。


「由依ちゃんだけずるぅい!僕にもやってぇ!」

「でも悠真は霜焼けになってないでしょう?これは霜焼けの人に治りますようにっておまじないをかけながら塗ってあげるから効果があるのよ」

「ちぇっ。つまんないのぉ!」


悠真はそう言って拗ねたが、そういう時の対処法も母はもちろん心得ていた。


「じゃあ、悠真のお手々にやらないかわりに、お昼ご飯はおにぎりに醤油をぬりぬりしよう。焼きおにぎり、美味しいよ~」

「分かった!じゃあ僕おにぎり作る!いっぱいにぎにぎしてぬりぬりする!」


悠真はそう言って喜んでいた。

母と居られる時間がオレよりも4年も短かった悠真にとっては幼い頃の母の思い出が鮮明なようで毎年冬になると必ずこの話を口にするから、オレもよく覚えていた。