二度目の初恋

そんなある日の晩のことだった。

12月に突入し、ストーブやこたつ無しではキツイ時期となった。

オレはバイトから帰り、ソッコーで風呂に入り、布団に入って寝ようとしたところで電話がかかってきた。

オレは布団から飛び出て寝ぼけ眼でスマホをタップし耳に近付けた。


「はい、もしもし」

「もしもし。佐倉由依です。こんな遅くにごめんね。今大丈夫?」

「いいけど、どうした?」


由依から電話なんて何かあったのかもしれない。

オレはすぐ駆け付けられるようにささっとパジャマの上にダウンジャケットを羽織りスタンバイをした。

しかし、由依の口から出たのは思いがけない 言葉だった。


「あの......その......なんていうか......声が聞きたくなって......」

「えっ?」

「ごめん。本当に迷惑だよね。でも...なんか今日は眠れなくて。悠永くんの声聞くといつもなんか...なんだか安心するから、声聞けば眠れるかなって思って」


オレは驚きと恥ずかしさで言葉を失った。

ストーブは消したし、布団から這い出て本当は寒いはずなのになぜか全身が熱くなってきた。

体の芯からメラメラと真っ赤な炎が燃えているようだ。


「あっ、えっと、その......本当にごめん。不眠なんか自分でどうにかしろって話だよね。じゃあ切るね」

「ゆいぼん、待って」


咄嗟に引き留めたけど、何を話していいか分からない。

でも引き留めたからにはオレが何か話さなければならない。

オレを求めてくれた由依の期待に答えられるように何か...何かないだろうか。


「悠永くん」

「あっ、ごめん。オレ何か話した方がいいよね?どんな話すればいい?ゆいぼんが眠れそうな話」

「特別なことは要らないの。ただ本当に悠永くんの声が聞きたかっただけだから。少しでも聞けたから、安心したよ。眠れそうな気がする」

「なら、良かった...」


良かったじゃなくてもっと他に言いたいこと、あるだろ。

あるのにオレは何ひとつ言葉に出来ていない。

そんなんじゃ由依はオレの腕の中から簡単にすり抜けて行ってしまう。

オレは口を開いた。