二度目の初恋

「助けて...私を助けて...!」

「きゃあっ!止めて!来ないで!」


由依よりも長い黒髪の貞子さんが由依の背後から襲ってきた。

オレは振り返って由依の腕を取り、ダッシュした。

その後も立て続けに襲って来るのでオレは常に由依の腕をがっしりと握りながら駆け抜けた。


「悠永くん...ごめんね。わたし、全然ダメだったみたい」

「昔もこんな感じだった」

「だったら何で止めてくれなかったの?わたし...もうダメ...」


おそらくあと少しで出口だと思うが、由依は立ち止まり泣き出した。


「ぐすっ......ぐすっ......」

「ゆいぼん大丈夫だよ。もう少しでゴールだ。後はあそこの突き当たりを曲がるだけだよ」

「本当に?」

「本当だ」

「本当に本当に大丈夫?」

「本当に本当に大丈夫」


オレは由依に左手を差し出した。


「えっ?」

「手、握って」

「でも...」


ためらいたいのはオレだって一緒だ。

でも、そんなこと言っていられない。

大切な人を守るには、自ら手を伸ばしてしっかり掴んで離さないしかないんだ。

オレはもう2度と由依を悲しませたくない。

由依を離したくない。

由依の笑顔が見たい。

だから、その手を握る。


「オレはゆいぼんの手を離さない。だからゆいぼんも絶対離さないで」


暗くて表情はよく分からないが、由依がオレの手を強く握りしめたのは分かった。

オレはそれを合図に歩きだした。

出口はもう見えている。