二度目の初恋

覚悟を決めて中に入るとどうやら設定としては廃病院のようだ。

どこからか冷気が漂い、薬品の臭いが鼻に来た。

この臭いには良い思い出が1つもない。

出来れば嗅ぎたくない臭いだが、進んでも一向に消えない。

保健室から借りたと思われるベッドや名前の知らない機械、そしてたまに床に包帯が敷いてある。


――カタッ。


「きゃっ!」


由依が何かに驚いたようで悲鳴を上げた。


「どうした?」

「足元にハサミがあって、わたし、踏んじゃったみたい...」

「ゆいぼん、怖い?」

「まだ...大丈夫」


とその時だった。


「助けて......」

「ふぇっ?!」


どこからか声が聞こえて来た。

由依は声に驚き、オレの背後に隠れた。


「ゆ、ゆいぼん...」

「ごめん...。怖い...」


由依は相変わらず怖がりなようだ。

雷もダメだし、地震には敏感すぎるほど敏感ですぐに机の下に隠れていた。

でも1番嫌いだったのはお化けで、学校で遊園地に遠足に行ってお化け屋敷に入った時も怖がってオレにしがみつきながらのろのろと出口を目指して歩いたんだ。

さすがに恥ずかしいのかしがみつきはしないけれど、それでも怖がっているのは確かだ。

ここは早く出た方が良さそうだ。


「ゆいぼん、オレの後に着いてくれば大丈夫だから、ここから早く出よう」

「分かった...」


オレは周りから飛び出してこないか、由依がちゃんと着いてきているかを確認しながら歩みを進めた。

それでも不意に幽霊はやって来るもので...。