二度目の初恋

私はバッグから1冊の日記帳を取り出し、ゆいぼんに突きだした。


「これはゆいぼんが昔書いてた日記帳。ここに全部書いてある。これを読めば分かる」

「どうしてわたしのものを伽耶ちゃんが?」

「良いから読んで。早く...読んで」


ゆいぼんは私の圧に押され、訳も分からないまま日記帳を開いた。

紀依にゆいぼんの部屋を見せてもらった時にこれを見つけて私は咄嗟にバッグに入れた。

これをゆいぼんが見つけたら思い出す。

思い出したら、その記憶の真ん中には悠永がいる。

悠永を苦しめたのが自分であり、

悠永を泣かせたのも自分であり、

悠永を喜ばせたのも自分であり、

悠永を笑わせたのも自分。

そう分かったらゆいぼんの心には罪悪感や後悔が生まれる。

その一方で悠永を好きだという気持ちも思い出す。

両方の気持ちを持ち合わせた時、どちらに傾くのかは誰かが何もしなければ気持ちが強い方だ。

つまり、私が作用すれば、傾く方向を変えられるかもしれない。

なんなら、悠永のベクトルだって私に向かわせることが出来るかもしれない。

私はその考えに辿り着いた時、体の底から震え上がった。

人生で1番の名案だと思った。

これ以上自分に都合の良い解釈も方法も存在しない。

だから、私はこれに賭けた。

少しでも勝算のある負け方をしたかった...。