二度目の初恋

怜奈ちゃんは手渡されたプレゼントを見つめ、青いリボンを指でなぞっている。

こんなにも悲しそうで寂しそうな怜奈ちゃんを見るのは再会してから始めてのことだった。

再会した時から怜奈ちゃんはずっと笑顔で、わたしのことを前向きに考えてくれて一番力になってくれた。

それなのに怜奈ちゃんにこんな顔させてしまうなんて...。


「怜奈ちゃん...ごめん。わたし、余計なこと...」

「ううん、いいの。泰翔は悠永(はると)の話が出るといっつもああだから、もう慣れっこだよ」

「悠永...くん...?」


わたしが首を傾げると怜奈ちゃんがわたしの肩に手を置いた。

怜奈ちゃんの瞳には光るものが見えてわたしの右手が小刻みに震えだした。


「悠永は...悠永はね、ゆいぼんに会いたいと思う。でも会うにはアタシたちより何倍も勇気がいるの。毎日悠永のスマホに連絡して留守電を残してもダメなんだ。だからあいつが会いたいっていうまでは待っててほしい」

「うん...分かった」

「ならこの話はお仕舞い。さてと、祝ってくれるのはお母さんとゆいぼんだけだけど、家でパーティーやるから早く行こ」


怜奈ちゃんが空元気なのは一目瞭然だ。

その原因を作ってしまったのはわたしだ。

泰翔くんを不快な気持ちにさせてしまったのもわたし。

全部わたしのせいなんだ。

わたしはここに戻ってきて正解だったのだろうか。

戻って来ても周りの人を苦しめているだけなのではないか。

両親も妹も怜奈ちゃんも泰翔くんも、もしかしたら伽耶ちゃんのことだって傷付けているかもしれない。

それならいっそ、前みたいに何も求めず、母と2人ひっそり暮らしていた方が良い。

そんなことを考えながら作り笑いを浮かべて怜奈ちゃんのホームパーティに参加していた。