「たかれなは端から見ればいい人だけど、自分を守りたいっていうのはアタシたちと一緒。結局は皆自分が大事なの」

「そう、かもな...」


怜奈の言っていたことが本当だとしたら俺は自分のエゴのためにゆいぼんの気持ちを無視していることになる。

果たして俺はそれでゆいぼんを好きだと言っていいのか。

本当に好きなら好きな人の気持ちを大事にするべきなんじゃないのか。

俺は......どうするべきなんだ。

考えようとすればするほど辛くなる。

心臓を握り潰されるかのように痛く、苦しい気持ちになる。

俺は今までの自分と今日新たに生まれた感情の渦に飲み込まれて動けなくなってしまった。


「私はね...まだ諦めたくない。だから協力することは出来ないし、指をくわえて見ているなんてことも出来ない。だから私は、自分がズタボロになって立ち上がれないくらいにまで傷ついてから試合終了のホイッスルを鳴らそうと思う」

「ほぉ。いいこと言うじゃん」

「だから、泰翔は泰翔のやり方で試合を運んできちんと終わらせて。終わったら...私にも報告して。一応...同じ学校に通ってる中では1番の知り合いなんだから」

「分かったよ。連絡する」