二度目の初恋

その日から幼なじみ3人の交流が復活した。

怜奈ちゃんは電車で3駅先の女子高に通っていていつも駅前に来るから、たまにわたしと一緒に帰ってくれたり、買い物をするようになった。

泰翔くんとは土日のどちらかあの公園で会つている。

進学校に通っているから勉強の邪魔にならないかと心配してるというと怒られる。


――そんなの気にするんじゃねえ。

――俺はゆいぼんに会えない方が辛いんだ。


って。

だから最近は心配するよりも何か泰翔くんのためになることをしてあげようと考えた。

わたしの記憶をよみがえらせようと努力してくれているのに、わたしばかりがもらうのは良くない。

そう思ったんだ。

わたしは学校が無い日はレポートを進めるくらいしかやることがなかったから、アルバイトをすることにした。

バイトをして貯めたお金は自由に使うことができるから、友達のために何か作ったり買ったりできる。

両親に相談したところ意外にも2つ返事でOKしてくれた。

家にいるより体を動かした方がいいと父が言って母も納得した。

ただし、母が指定したフラワーショップで働くという条件つきだった。

そこは母の親友が経営していて父が毎年母の誕生日に花束を買ってくるお店で、わたしも何度かお邪魔したことがあった。

わたしが働くのは学校に行かない月水金のうちの2日で、無理がないように10時から16時までの6時間。

休憩も30分きちんともらえている。

こんな好条件で働けるのはやはり母の力だと痛感したが、同時にこのまま過保護に育てられたら、わたしは何も出来なくなってしまうかもしれないなんていう不安も襲ってきた。

でも、バイトをするという決断は自分がしたのだから取り敢えず一歩前に進んだということにしておこう。