二度目の初恋

握っていたゆいぼんの手がぴくっと動いた。

オレは顔を上げて大声で叫んだ。


「由依っ!」


瞼がゆっくりと開き、透き通った瞳が見えた。


「由依...」


オレの胸にじわじわと迫ってくる熱くて切なくて苦しい感情。

オレの瞳から雫が流れ、頬を伝い、首を通った。

オレは...泣いた。

泣いちゃいけないのに泣いていた。


「あ、なた......」


由依が吐息を吐くように言葉を紡ぎ出す。

オレは由依の口元に耳を近づけた。

由依の言葉も呼吸も、この胸に、脳に記憶したかった。


「あ、なた...だ......れ...」


オレは自分の耳を疑った。

一体...これは...どういう?

冗談だよな。

こんな時に冗談なんて、心臓に悪い。

でも......なんだ?

なんだ、この違和感は?

オレは冗談だと思いたくて、信じたくて由依に言った。


「由依、もう1回言って」


嘘だ。

絶対に嘘だ。

そんなわけない。

由依が...

由依が...


「だ...れ...なの...」


由依が...

由依が...

オレを...

オレを...

覚えて...ない。

そんなわけ......ない。

そんなこと...あるわけない!

オレは握りしめていた由依の手をゆっくりと離した。

ソファでこくりこくりと船を漕いでいるゆいぼんの父を無視し、病室を飛び出してナースセンターにかけこんだ。


「どうしましたか?」

「由依が......由依が......」


涙が次から次へと頬を伝い、ぽとりぽとりと床に落ちた。

オレを泣かせたのは、やっぱり由依だった。