二度目の初恋

ゆいぼんの両親が喧嘩している中、静かに手術室の扉は開いた。

手術を担当した医者の話によると、ゆいぼんはなんとか一命をとりとめたものの、予断を許さない状況だということだった。

オレは母に連れられ、一度家に帰ったが、翌朝目覚めるとすぐに家を出て病院に向かった。

すぐにでもゆいぼんに会いたかった。

会って目覚めたらすぐに謝りたかった。

しかし、オレが病院に行くとゆいぼんのお母さんが病室に張り付いていてオレは入室を禁じられた。

ゆいぼんのお母さんに病室に入れてもらえないまま午前中が過ぎた。

面会スペースの椅子に座り、机につっぷして眠りかけていると、ゆいぼんのお父さんがやって来た。


「悠永くん、すまないね。妻は今、一度帰ったから入っていいよ。悠永くんの気が済むまでいていい。悠永くんがいてくれた方が由依も目覚めた時に嬉しいだろう」

「すみません。ありがとうございます」


オレは深々と礼をし、やっと病室に入ることが出来た。

ゆいぼんは人工呼吸器をつけているものの、すやすやと眠っているようで少し安心した。


「こんなことになってしまったけれど、悠永くんには感謝しているんだ。事故の後Tシャツの一部を破って頭を圧迫止血してくれたんだろう?」

「どうしてそれを...?」

「救急隊の人が警察に伝えていたんだ。妻が聞いたのは断片だが、私は全体を聴いた。だから悠永くんだけを責めることは出来ない」

「ですが、こうなってしまったのはやはりオレの責任で...」


ゆいぼんのお父さんの両手がオレの肩に乗った。

優しい眼差しでオレを見つめている。

オレの心がぐらっと動いた。


「君は泣かなかった。責任が自分にもあると分かっている。それだけでもう十分だ。君にあと出来ることは祈ることだ。由依が目覚めてまた笑ってくれる日が来ることを心から祈ってほしい。お願いできるかな?」


オレはゆいぼんのお父さんの瞳を真っ直ぐに見つめ、うなずいた。


「分かり...ました...」