……由梨ちゃんって誰だろう。


みんな由梨ちゃんという人物を知っているのが当然だというように、会話は流れていく。


誰も彼女について質問する人はいない。


もしかして、知っているのが当たり前なのかな…?




そう思いながらも、あたしにとって由梨ちゃんがどんな子かというのは二の次だった。


もちろん、どのくらい可愛いのか気になるし、実際に実物を見てみたいと思う気持ちはあるけれど、あたしはそれよりも───






「佑羽〜、ただいま」


「…あ、花菜ちゃん。おかえり、ギリギリセーフだよ。それより、大丈夫だった?」


「あー、うん。普通に断ってきたよ」


と、思った通りの言葉を口にしながらあたしの前の席に座った花菜ちゃんこと乾 花菜(いぬい はな)ちゃん。


あたし、岩永 佑羽(いわなが ゆわ)がこの高校に入学して初めてできた友達。