そう思うと突然日頃の感謝を伝えたくなって、あたしはぽつりと呟いた。
「……花菜ちゃん。いつもありがとね」
なんの脈絡も前置きもなく唐突だったので、あたしの言葉に着替え終わって髪を櫛で梳かしていた花菜ちゃんはびっくりして戸惑っている。
「……えっ。と、突然どうしたの、佑羽?」
「…ううん。特に特別な理由はないんだけど、花菜ちゃんにはいつもお世話になってるなって思ったら、突然お礼を言いたくなったの」
“ありがとう”っていう言葉は何回言われても嬉しい言葉だし、何回っても減らないから。
「………」
「…花菜ちゃん?」
「………」
「は、花菜ちゃん……?」
何も言わない花菜ちゃんに何か変なことを言っちゃったかと思って不安になって花菜ちゃんの名前を呼んでみるものの、やっぱり返事はない。
それどころか櫛を持ったまま下を向いて震えていて、いよいよどうしようと焦ったとき。



