教室のドアが勢いよく開いてクラスメイトの女の子が教室に飛び込んできた。
あまりにも突然だったので、あたしは驚いてその女の子の方に目を向けた。
他のクラスメイト達も同様、何事かとそれぞれしていたことをやめ、みんなその子の方に注目していた。
「ねえ、大ニュース!ついさっき、一組の由梨(ゆり)ちゃんが風早先輩に振られたらしいよ!」
肩で息をしながらも、はっきりとした口調でそう言ったその子。
その瞬間。
一瞬静まり返った教室は再びガヤガヤと騒がしくなる。
「え、由梨ちゃんが…!?」
「由梨ちゃんって確かうちの学年の美人四天王の一人じゃなかったっけ?」
「そうそう、あたし何度か見たけど、めっちゃ可愛かったよ!」
「あの由梨ちゃんでもダメだとか風早かざはや先輩って相当理想高いんじゃね?」
「ばかじゃないの、あんた。あれは極度の女嫌いなだけでしょ」
「ほんと。確かに顔がいいのは認めるけどさ。正しく“氷の王子様”ってあだ名がぴったりだよね」
「ていうか、由梨ちゃん、風早先輩が好きだったんだ……」



