二人はあたしと違って皐月くんを追いかけてきたわけではない。

純粋にこの高校を受けたかったわけでもない。




───あたしが皐月くんを追いかけてこの高校を受験することをわかっていたから。


ぜんぶ、あたしを心配してのことだ。




いくら仲のいい従姉妹であっても、本当ならそこまでしてもらう義理なんてないし、それが普通だ。

でも、二人は優しすぎるから。


だから、だからこそ今もこうやって、ほら。




「佑羽、授業はどう？わからないところとかない？」


「佑羽は頭いいからそんなに心配はしてないけど…あと二週間ちょっとで一学期の中間テストでしょ？」


「高校に入って初めてのテストだし、佑羽にとっては久しぶりだと思うから遠慮なく私達を頼っていいんだからね？」




……こんなふうに。

あたしのことを必要以上に気にかけてくれる。