「あ、佑羽。おかえり、待ってたよ」

「…澄果ちゃん。蘭ちゃん。遅くなってごめんね」


教室に帰ってくると、もう教室にはクラスメイトは一人もいなくて、代わりにいつも一緒に帰っている二人が窓際に寄りかかってスマホをいじっているところだった。




「別に全然待ってないから平気だよ。まあ…遅かったからちょっと心配にはなったけど」


…っ、やっぱりバレてる……。


あたしとしても事情を知っている二人には小さなことでいちいち心配をかけたくないのもあって、少し時間を空けてから来たのに。


改めて蘭ちゃんの人の感情を敏感に感じ取る力には敵わないと思ってしまう。




「…ありがとう。でも大丈夫。もう落ち着いたから」

「…そっか。なら帰ろうか」


澄果ちゃんからはいと渡されたバッグ受け取ってこくんと頷く。