入学式には満開だった桜が散ってから大分経ち、ゴールデンウィークも明けたばかりの五月上旬。




もうすぐ始業のチャイムがなる時間ということもあり、朝の教室にはほとんどのクラスメイトが集っていた。


友達と談笑したり、自分の席で本を読んでいたり勉強していたり。

はたまた朝が弱いのか机に突っ伏して寝ている人もいる。


あたしも窓際にある自分の席で空を眺める傍ら、クラスメイト達のことをぼんやりと観察していた。




……それにしても、花菜ちゃん大丈夫かなあ。


あたしは目線を自分の前の席に動かしながら、ふと先ほど知らない男の子に呼ばれて教室を出て行った友達の花菜ちゃんのことを思い出す。


チャイムがなるまで後二分もないのに、このままじゃ遅刻になっちゃうと思ったその時。