自惚れかもしれないし、そこに恋愛感情のようなものはなかったけれど、少なくとも皐月くんはあたしを幼なじみとして大切にしてくれていた。
そんな皐月くんに、この想いは叶わないだろうと思いながらもあたしは恋をしていた。
……それはもう、何年も何年も前から。
だからこそ、だからこそ、皐月くんのあの言葉はあたしの心にナイフのように突き刺さったまま抜けない。
同時に、それまで誰よりも一番よくわかっていたはずの皐月くんのことが全然わからなくなってしまった。
そして、あたしが諦めずに何度話しかけても真面に口を聞いてくれなくなり、あたしと皐月くんの距離はこの二年ずっとあいたまま。
むしろ、時が経つにつれどんどん遠くなっている気さえした。
去年とは違って同じ高校、同じ校舎にいるというのに、あたしと皐月くんの間には何枚もの分厚い壁が立ち塞がっていて、あたしには皐月くんに少しでも手を伸ばそうとすることすらも許されなくて───…



