世界で一番優しいきみの嘘


確か告白されるのはこれで五回目だ。


もちろん、だからと言ってこうやって好きだと言われるのは慣れることではないし、むしろ、あたしのどこを好きになったのだろうと毎回思うところがある。


だって、告白された五回中五回、全て名前すら知らない相手だから。


あたしは驚きながらも、この告白を断るためにしっかりと奥寺くんの目を見つめてからおもむろに口を開く。






「……ごめんなさい。あたし、大好きで大好きで仕方ない人がいるんです。だから、奥寺くん?の気持ちには応えられません」






「……そっかー。やっぱそうだよね…。岩永さんに好きな人がいるっていうのは有名だし。俺も正直ダメ元だったんだよね…」


わざと声のトーンを上げて明るく言っているつもりかもしれないけど、奥寺くんの瞳は僅かに揺れていた。