「…うん、ここでいいかな」
あたしが男の子について行きだどりついたのは、二階の一番端の階段だった。
…え、ここ…?
ここ、何もないけど…
そんな戸惑うあたしの様子を察したのか、目の前の奥寺くんは少し苦笑いをしながら口を開いた。
「…本当に天然で鈍感なんだね。さすがにここまで連れてこられたらわかると思ってた」
わかる?…って、一体何を……?
全くもって奥寺くんが何を言いたいのか分からない。
「…うん、単刀直入に言うね。俺、岩永さんのことが好きなんだ。よければ付き合ってくれないかな?」
先ほどよりも真剣味を帯びた奥寺くんの言葉に、あたしは一瞬え、と固まる。
……花菜ちゃんの思い過ごしじゃなかったの?



