「あっ……」
何をやっているんだ、あたしは……。
そう、花菜ちゃんと話し込んでいて、知らない男の子に呼ばれていたことをすっかり忘れていたのだ。
「ご、ごめんなさいっ…、掃除終わったらすぐに行くって言ったのにっ……」
あたしはピューッとその男の子のそばまで駆け寄った。
幸い、その奥寺くんという人はとっても優しい人みたいで、気にしてないから大丈夫、と笑顔で言ってくれた。
……うん、違うな。
この男の子があたしに告白なんて、きっと花菜ちゃんの思い過ごしだろうとあたしは心の中で再確認した。
男の子について教室を出る間際、チラリと目の合った花菜ちゃんはやっぱり心配らしく、口パクで気をつけてなんて言っていたけど。



