世界で一番優しいきみの嘘


……いつもの明るい花菜ちゃんに戻ったのかな、これは。


うーん、相変わらず言っていることはよくわからないけれど、とりあえずよかった。


あたしがホッと胸を撫で下ろした時、何故だかいくつもの視線を感じてキョロキョロと辺りを見回す。


すると、まだクラスに残っていたクラスメイトのほぼ全員があたしのことをじーっと見ていて。




……え、なに。


もしかして、さっきの花菜ちゃんとの会話、
全部聞かれてた……?


あたしの好きな人の名前は出していないけれど、でも───




「……佑羽ちゃん、一組の奥寺くんが呼んでるよ」


一人のクラスメイトの女の子が教室の外から覗くようにあたし達を見ている一人の男のことを交互に見やりながらそう言った。




一組の奥寺くん…?


聞き覚えのない名前に一瞬首を傾げたけれど、その男の子の顔を見た瞬間、あたしは思わず声を上げた。