「佑羽……?佑羽?」
「……花菜ちゃん?」
「…大丈夫?また空見ながらぼーっとしてたよ?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む花菜ちゃん。
そっか、あたし、また空見てたんだ……。
あたしは考えごとをしたりするとき、無意識に空を見るくせがある。
だってね、空を見ると妙に心が穏やかになるんだよね。
それに、あたしみたいに自信がなくて引っ込み思案で弱い人間でも、空は暖かく包み込んでくれる気がするから───
……なーんてね。
「…ごめんね、今日の空なんだか綺麗で」
花菜ちゃんに隠しごとをするのは少し胸が痛むけれど、仕方ない。
あたしにはまだ弱い自分を曝け出す勇気はないし、“あのこと”を話すとなると、きみとの“約束”を守れなくなってしまうかもしれないから。



