いつまでも私を幼名で呼び続ける男は、見慣れた笑顔をもひとつ増やして、今では飛行機の中の人。 きれいなスチュワーデスさんに熟考の末のコーヒーなんて手渡してもらって笑っているかもしれない。 私は私の前に冷めていくコーヒーを見て、その向こうの手紙と葉月に目を移した。 「二ヶ月も何してたの? あんたたち」 「それまで知らなかったんだよ、私」 「隆一朗が行くつもりだったのは知ってたでしょ。ずっと言ってたんだから」