いちばん早くに隆一朗に会ったのが、私、平坂依子だった。
一緒に来た連中はなぜだかみやげものやさんの中。
お店の外でなぜだか雑誌をチェックしていた私の肩を、隆一朗は指一本で三回叩いた。
「静かにね」
何を言わせるよりも前にそう言って私の言葉を閉じ込めて、自分も沈黙のまま歩き出す。
人のいなさそうな、とりあえずはさらに奥の通路に入ったとこで立ち止まり、まだ小さめの声で言うことには。
「よーちゃんで良かった。それだけが賭けだったんだ」
「何が? どしたの? なんで荷物ないの? 隆一朗」
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