届いてしまった飲む気にならないコーヒーに、砂糖だのミルクだのを忘れたまま手を伸ばしたとき、ぐしゃりと手紙が、いや手紙を、葉月の手が握りつぶした。 ぐしゃりなんて、見るも無残な姿にしてしまったその紙よりも少し上の空間に視線をすえて、葉月はきっぱりと宣言をする。 「隆一朗、殺ス」 隣のテーブルの善良そうなおじさんが、ゆっくりこちらに首を回すのが見えた。