「葉月さん、来てないですねぇ」 桂木城が楽しそうにそう言った時、そこにいた人間すべてが、きっと悔しいと感じたに決まってる。 それは誰もが口にしたがっていた言葉。 誰もが、いつ言うのが最も効果的なのか、ずうぅっとはかっていた、隆一朗が姿を現したその瞬間から、みんなで牽制し合っていた言葉なのだから。 だがしかし。