「……燦、いつもと違うね」


「ん?ああ、そりゃあそうだろ。

制服着てないんだから」


「なんか、おしゃれしている感じじゃないのにおしゃれ」


「それ褒めてんの?」


「もちろんだよ、かっこいい」





言った瞬間、燦が頭を抱え込んだ。




頭を抱える手の隙間から見える耳がほんのり赤い。




ぼそりと「なんだよそれ、反則だろ」と言ったのが聞こえた。





「えっ……。ごめんね」


「……そういうことじゃねえよ」


「どういうこと?」


「千鶴は知らなくていいよ」


「……うん、分かった」





何が何なのかよくわからず窓の外を眺めるしか出来なかった。




でも隣を見ると、もういつもの飄々とした燦に戻って電車の外を見つめる綺麗な横顔があった。




ぐるぐる考えているうちにはたと気付いた。




……わたし、やっちゃったかも。


思ったことをそのまま言い過ぎた。