「千鶴、これはどうやって解くの」
「あ、これは……」
教えながら確信がどんどんつよくなっていく。
絶対にある程度できないと出てこないような質問ばかりしている。
ここまでしてわたしに教わりたい理由は何だろう。
教えることは嫌じゃないけれど、分かっていることをわざわざ質問して時間の無駄だと思わないのだろうか。
そう思うと偉そうに合っているとか正解とか言いづらい。
「ありがとうな」
「うん。
……あのさ、燦」
「ん」
想定外に優しい声に、わたしは何かとんでもないことをしでかしているような気さえしてしまう。
だけど、疑問は大きくなっていく。
緊張のせいで喉が軽く引き攣る。
「……燦、本当は分かっているよね」
「……は?」
「本当、ごめんね。テスト前なのに。
……だけど、ずっと気になっていて。
……燦は、勉強が出来ないわけじゃない。
分かっているからこそ聞ける質問だった」
「……」


