「千鶴」
「うん?」
「放課後勉強教えてくれないか?」
「……あ、うん。いいよ」
「なんか歯切れ悪くねえ?」
「……ふ、普通じゃない?」
「ま、いいや。ありがとうな。よろしく」
燦が笑うと、太陽の光がそこらじゅうに降り注いでいるみたいだ。
未だに不意打ちの笑顔に惚れ惚れとしてしまう。
燦が教科書をロッカーに取りに行くところで友達に絡まれている。
遠くから見ても黒髪と綺麗な横顔が目立つ。
本当、信じられないなあ。
わたしがあんなに綺麗な男の子と付き合っているなんて。
その姿を見ていると、アヤちゃんとミホちゃんの言葉を思い出した。
勉強のこと、聞いてみようかな。
明日からテストだし、せっかく今日は来ている。
次はいつ来るか分からないから覚えているうちに聞いておきたい。


