青は奇跡






隣を見ると、もうホームルームが始まるのに燦がいない。




鞄も置かれていない机は無機質で寂しげだった。




遮るものもなく、空を直視出来てしまうことがこれほど虚しいものだとは思わなかった。


おまけに外はこの時期には珍しいくらいの大雨でそのうち雷もなるんじゃないかというくらいに暗く澱んでいる。





「……あーっと、今日は夏川は休みだ」


「最近は来てたのになんでだろ」


「ま、体調不良なんだろうな。以上」





煮え切らない答えにわたしの心は密かにざわめいた。




どうして休みなんだろう。




何かあるのだろうか。




それとも、わたしが燦を怒らせてしまったから?





「あ、藤野。ちょっと来てくれ」


「……はい」





先生の後に続いて廊下に出ると、手招きされた。




近付くと、先生は苦笑いしながら話し始めた。