「わ、ちょっ、待って!」
「待たなーい」
「え、えー」
「あ、やば。もうチャイム鳴る!」
アヤちゃんとミホちゃんと一緒に廊下を走りながら、驚いていた。
こうやってわたしが廊下を走っているなんて。
ずっと時間に余裕を持って、5分前行動を卒業まで続けるのだろうと思っていた。
わたし、今がいちばん高校生活で羽目を外しているかもしれない。
「ちづ?どうしたの?」
「……」
「……ちづ?」
「ん、なんでもない」
「なんか楽しそうだね」
ああ、やっぱり今がいちばん充実しているな。
初めて友達が出来て、初めて廊下を走っている。
「うん、楽しいよ。すっごく楽しい」
2人はぽかんとしている。
でもすぐに笑って並んで歩き始めた。


