……どういうこと?
燦の前だけで恥ずかしがればいいって、どういうこと?
……え?
いや、そんなはずはない。
だけど、もし、そうだとしたら……?
ええー!
いや、やっぱりわたしの勘違いだ。
早く帰ろう。
「千鶴、おかえり」
「お母さん、ただいま。
今日は早いね」
「うん、早く上がっていいって部長が言ってくれたのよ」
「そうなんだ」
「千鶴、顔赤いんじゃない?
熱でもあるの?」
「えっ?……大丈夫だよ、どこも具合悪くないよ。
それより手伝うよ」
「そう?ありがとう」
「ちょっと着替えてくる」
もう大丈夫だと思ったのに、まだ顔が赤かったなんて。
まだお母さんには知られたくない。
……一緒に帰るのは、やめた方がいいかもしれない。
もちろん、燦といることは楽しいけれど。


