学校を出ても、喋るタイミングが上手く掴めず、何も話せなかった。
どうしよう、絶対怒っている。
さっきから1人でスタスタ歩いちゃうし。
本当、さっきのわたしどうかしてた。
謝りたい。
燦に嫌な思いはしてほしくない。
あの場で逃げずにちゃんと答えていれば、今ごろは……。
「俺こっちだから」
「待って……!」
どうすれば逃げずに話を聞いてくれるだろうかと思った挙句、腕を掴んでしまった。
「あ?」
「あの……、さっきのことなんだけど。
きっ、教室で話しかけられるの、緊張するから、たぶん真っ赤になると思う、から。
だけど、嫌じゃないよ。
話しかけられることは、嬉しい、から」
下を向くと、影がこちらに近づいてきた。
「……もっと恥ずかしがればいいだろ」
「……え?」
「俺の前だけな」
「……」
「じゃあな」


