……びっ、くり、したあ。
今までは人前でこんなことしなかったのにどうして……。
疑問と同時に恥ずかしさで頬が紅潮するのが分かる。
誰かに指摘されたらますます恥ずかしいし、それに燦と付き合っていることがばれたら明日から教室に入りづらい。
急いで教室を飛び出すしかなかった。
「はあっ、はあっ……」
「千鶴」
先に屋上に来たと思ったのにもう燦がいた。
「……何?」
「昼休みなんで無視したの?」
「……それは」
「俺の事嫌いか?」
「……違う」
それだけ言って帰ってしまおう思った。
だけど、帰る道を塞がれてしまった。
燦を退けようとしたけれど、その手を逆に掴まれてしまう。
「離して」
「無理」
「離してよ……」
「答えてくれたら」
ぐっと引いたつもりが、勢い余って後ろによろけてしまった。
「あっ!」


