「で、誰と付き合っているの?」





もう2人の目は獲物を捕らえた猛獣のようにギラギラしている。


言わなくても追及はしないだろうけれど、この2人なら喋ってもいい気がする。


教室内でもよく落し物を拾って持ち主に渡したりしているからだ。





「……誰にも、言わない?」


「言わないよ」


「……夏川、燦」





言った瞬間、さらに顔が赤くなった。


ああ、やっぱり恥ずかしい。


身の程知らずだって思われたかも。


あの時は嬉しくて舞い上がって答えちゃったけれど、やっぱり何かの間違いだったんだ。





「ええーー!」


「サンと?サンが!」


「あいつが彼女作るなんて信じられない!

あいつあんなふうだから今まで誰とも付き合ったことないんだよ!」


「それが藤野さんかあ。

うん、うん。すごくいいと思う」


「い、いいの?」


「うん、藤野さん合うよ」