もっと伝えておけばよかったのかな。
そうすれば、燦もここにいてくれたかもしれない。
「あれ、藤野さん?」
「あ、本当だ」
「藤野さーん」
顔を上げると、クラスでも明るく元気な部類に入る河合さんと今野さんがいた。
2人は遊びに行くのだろうか。
すごくお洒落で、同じクラスで勉強しているとは思えないくらい。
驚きのあまり、思わず控えめに手を振り返してしまった。
「藤野さん、どうしたの?」
「……ちょっと、用事があって」
「へぇ、私服お洒落なんだね。
あたしなんかちょっと出掛けるくらいならTシャツとジーパンだよ」
「もっと制服のスカートも切っちゃえばいいのに」
「それは困るな……」
「あはは、藤野さん真面目だね。
あ、それでどこ行くの?」
痛い所を突かれ、答えに迷ってしまう。
「ええと、出掛けるはずだったんだけど、ちょっと相手に予定が入っちゃってなくなっちゃった」


