「これで終わりかな」
「やっと終わったー」
「あとは明日のために早く寝た方がいいよ」
「うるせえ、余計な世話だ」
「……ごめん」
期末考査の前日、わたしと夏川くんは最後の確認をしていた。
1週間前、夏川くんに勉強を教えることを頼まれてから今日まで放課後の時間を費やしてきた。
いつもは黙々と1人でやっていた勉強も、人に教えることで授業もよりしっかり聞こうという気になり、知識として定着しやすかった。
まだ梅雨は明けていないものの、空は青く、雲がぷかぷかと浮かんでいる。
天気が良いと勉強にも身が入る気がする。
「ひとつ聞いてもいい?」
「あ?」
1週間勉強を教えてみて分かったことがある。
夏川くんは口が悪いし、目つきも怖いけれど、喋ってみたらそれほど怖くなかった。
少しくらい暴言を吐かれても怯まないくらいに耐性はついた。


