耳鳴りがした時みたいに急にお母さんの声が遠くなった。
……わたしは、後ろめたいのだろうか。
友達がいないことが。
そしてそれを誰にも言わないということは、自覚しているということ。
お母さんは、知っているだろうか。
わたしに友達がいないということを。
受け取っていたビニール袋を持ち直す。
喉の奥に引っ込んだ声を引っ張り出すように笑って答える。
「大丈夫だよ、お母さんこそ少しは休みなよ。
家事くらい苦痛じゃないから。
学校で喋っているし、遊びに行くほどじゃないよ」
……お願いだから。わたしは、大丈夫。
「……なら、いいんだけど。
でも遊びに行く用事があったらすぐに言いなさいね」
「うん、ありがとう」
お母さんは知っているかもしれないし、知らないかもしれない。
だけど今は夜ご飯だ。
「ご飯食べようか」
「うん。今日はちょっと豪華にしたんだ」


