学校を出る前に洗濯物は洗って乾燥機に入れておいたおかげですっかり乾いている。
お母さんは朝早くから夜まで毎日働いているから家事をする時間も体力もない。
それを考えると、やっぱりわたしは部活をしないで家のことに専念していて良かったと思う。
畳んでから所定の位置にしまい、勉強机に向かった。
勉強は嫌いではない。
むしろ得意なことだからやる気も湧いてくる。
「おかえり、今日は早いね」
時計を見ると、まだ夜ご飯を食べるほどの時間じゃなかった。
「ただいま。ごめんね、連絡忘れてた。
今日は仕事が落ち着いたから早く上がっていいよって上司に言われたの」
「よかったね」
「だからほら、こんなに買えたよ」
自慢げにスーパーのビニール袋の顔の両側に持ち上げる。
いつもの倍はある。
「そうなんだ、荷物持つよ」
「ありがとう。……ねえ、千鶴」
今までの明るい声とはうって変わって真剣なものになった。
「……何?」
「千鶴が毎日家事をしてくれて、お母さん嬉しいわ。
でも、少しは友達との予定も入れていいのよ?
せっかく高校生なんだからちょっとくらい遊ばないと、ね?」


