青は奇跡





朝から雨だった。




このところ、梅雨の割に晴れることが多かったからつい梅雨の真っ只中にいることを忘れかけていた。


最後に雨が降ったのは、お父さんと3人で会った時だったと思う。



雨の日は心なしか教室の空気が重たい気がする。




わたしは雨が降っても関係なくいつものように教室で自習をしてホームルームが始まる時間を待っていた。




先生の起立の合図の時に隣を見ると、夏川くんはまだいなかった。




あのよそ行きの目を向けられることなく朝を過ごせるのは久しぶりで変な感じがした。




先生から伝えられる連絡を聞き取りながらもわたしの感覚は左隣に集中していた。




「連絡は以上。何か連絡ある人はいるか?」




「大丈夫でーす」




「じゃあ以上。1限遅れるなよ。

あと藤野、ちょっとこっち」




先生がわたしに向かって手招きをする。


小さく頷き、廊下に出る。