青は奇跡





「そういえばテストいつからだっけ」


「期末テスト?」


「他にあるかよ」


「来週からだったと思う」


「あのさあ、教えて」


「え?」


「だから、勉強」




その後、わたしはほとんど押し切られる形で勉強を教えることになった。





教える相手がいることはわたしの理解を深めるためにも良い事だが、疑問は拭えなかった。




だから帰る時に聞いてみた。




「どうしてわたしなの?

他にも勉強出来る人はたくさんいるのに」





わたしの目をじっと見た後、口を開いた。





「それ勉強に関係あるの?」


「…ない」


「じゃなんでもいいだろ。

隣の席のやつに勉強教わっちゃいけないのか?」




それだけ言うと、教室を出る時にわたしに何かを放り投げて出て行った。





手のひらに掴んだものを確認するように、そっと開いた。




…飴。ミントの飴。




お礼だろうか。




ほのかに鼻に抜ける香りが熱くなった脳を冷やす感じがした。