「すみません、先生」
「あら、藤野さん。どうしたの?」
「あの、倒れてしまいました!
燦、じゃなくて夏川くんが、理由はよく分からないんですけど、急に倒れてしまって……!
先生、大丈夫ですか?!」
「ちょっと待って、車椅子持ってくるから!」
そこからの先生の対応は本当に早かった。
すぐにベッドの方まで運び、寝かせてくれた。
わたしはというとただ見ていることしか出来ず、すぐに報告しなかったことを注意された。
「……一応、命に関わることはなさそうね。
脈は安定しているし、呼吸もしている。熱もないわね。
でも藤野さん、こういう時は先生を頼りなさい。
自分たちで何とかしようなんて思わないこと。いいですね?」
「はい、すみませんでした」
「でも、珍しいね」
「え?」
「藤野さんがあんなに取り乱すのなんて初めて見たから」
「……いや、そんなに取り乱したつもりはないんですが」


