「ちづ?!」
「ちょっと!大丈夫?
あたしたちも手伝うよ!」
バタバタと廊下を駆けてきた2人の姿を見つけ、思わず全身から力が抜けそうになってしまった。
「ミホちゃん、アヤちゃん……」
「ほら、しっかりして!
ずり落ちちゃ……えっ!
……な、なんで燦が倒れてんのよ!」
「……分からない。
後ろで急に倒れる音がして、振り向いたら燦だったの」
「アヤ、理由は後ででいいから早く燦を運ぼう。
ほら、ちづも。
ちゃんと支えて」
「……ありがとう」
「いいよそんなの、早く運ぶよ」
力の抜けた燦は相変わらず重たいけれど、2人が手伝ってくれるから軽く感じる。
心も軽い気がする。
出来るだけ刺激を与えないように慎重に運ぶ。
それでも階段を降りる時は少し振動が伝わってしまう。
気を失っているのか、痛がる声が出ない分まだましだった。
痛みを訴えられたらとてもじゃないけれど運べなかったかもしれない。


